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男着物業界、この20年の変化
2025年10月12日
20年前、私が男の着物専門店を立ち上げた頃、
高級店と伝統的なお店はありましたがカジュアルに男着物を販売する店がありませんでした。
一般の人が気軽に買えてカジュアルな男着物を選べるお店は見当たらなかったので私が初めてそのような店を作ったのだと思います。
私自身、5万円から10万円程度でセミオーダーのスーツを販売してきた感覚がありました。
その「普通の感覚」で買える男着物専門店をつくるためにリサイクルや既製品や紬や木綿などを従来の着物の金額よりも安い普通の金額で販売していきました。ですから着物が高級品だと思っている多くのお客様から不思議がられて変わった店ができたと思われてきたと実感しています。。
着物はやはり女性中心の世界ですから問屋関係の業者さんたちからも、えっ?えっ? 男だけってなぜ??と何回も言われました!(当時とても変な店だったのでしょう)
それが5年、10年と時を重ねるうちに、少しずつ「男着物」を掲げるお店も現れ、今では小さいながらも一つの業界と呼べるような形ができています。
正直私としては同業者がいないような小さな世界で細々とマイペースでやるつもりだったので驚きの連続でこの男着物の世界を見てきました。

昔は正月や特別なイベントの時に、百貨店などで買って着るくらいの方が多かったと思います。
しかし今は価値観が多様化し、いろいろなシーンでさまざまな着方をする男着物の人たちが増えてきました。
スニーカーを合わせるような本当にカジュアルな着方をする方もいれば、リサイクルや安価な着物をアレンジして楽しむ方もいます。
一方で、新品の反物からしっかり仕立てる方もいて、その層は決して多くはありませんが、確かに存在しています。
要するに、男着物の世界は一つの型に縛られることなく、多様な広がりを見せてきています。
メディアを見ても、男性が着物姿で登場する場面は、以前に比べて増えています。
その流れもあってか、私のところにも衣装協力のご依頼は常に何かしら入ってくる状態が続いています。
振り返ると、私自身もこのような流れを作った一人になったのだと感じています。それが少しずつ広がっていき、今では一つの小さな業界になりました。振り返れば懐かしい気持ちもあり、同時にとても嬉しい気持ちです。
